2016年1月11日月曜日

ペットのしつけ教室等を営むには都道府県知事への申請が必要です。

 昨今、ペット関連の教育団体(通信講座・通学講座)が実施する各種講座も盛況なようです。これらの講座を修了すると、ペット関連の民間資格を得られるようになっており、ペット関連の民間資格は乱立状態です。加えて、各団体ともに、就業や開業に有利ということをうたっています。

 しかし、ペットのしつけ教室やペット預かり業などを始めようとするには、20151226日付け記事「第一種動物取扱責任者研修申込から登録まで(1)」で述べましたように、必ず、動物取扱責任者となる職員を選び、その職員に都道府県が実施する動物取扱責任者事前研修を受けさせ、そのうえで、事業所の所在する都道府県知事に申請して、第一種動物取扱業の登録を受けなければなりません。しかも、この動物取扱責任者となるためには、定められた次の条件を満たしていなければなりません。

動物取扱責任者事前研修を受けようとする者(または、経営者が研修を受けさせようとする職員)は、次の受講資格を有していることが必要です。
(1) 登録のある事業所で実務経験が6か月以上あること、または、
(2) 学校その他の教育機関(犬の訓練学校、動物のトリマー養成学校、獣医師、高校(畜産科)など)を卒業していること、または、
(3) 環境省が認める、公平性・専門性を持った団体が行う試験によって、知識及び技術を習得していることの次の証明(資格)を得ていること(一例)。
 ・愛玩動物飼養管理士(1級、2級)〔公益社団法人日本愛玩動物協会〕
 ・公認訓練士〔公益社団法人日本警察犬協会〕
 ・実験動物技術者(2級)〔公益社団法人日本実験動物協会〕
 ・動物看護士(3級)〔公益社団法人日本動物病院福祉協会〕
・ペットシッター士〔特定非営利活動法人日本ペットシッター協会〕
など。詳細は20151226日付け記事「第一種動物取扱責任者研修申込から登録まで(1)」をご覧ください。

 ペット関連の教育団体の中には、修了時に得られる資格は、動物取扱責任者研修受講資格として認められていないこと、開業を希望するときは、まず、この教育団体の関連ペットショップなどで6か月以上の経験を積む(前述の動物取扱責任者事前研修受講資格(1)に該当。)か、又は、この教育団体の提携する団体が認定する資格(環境省が例示している資格)を得るようにと、はっきり明示しているものもありますが、資格と動物取扱業の関係について分かりやすく明示していない団体も多数、見受けられます。

 受講申し込みをする前に、開講している講座の修了試験が在宅受験か会場受験か、スクーリングの有無なども含めて、十分に調べておかれることをおすすめします。

2016年1月9日土曜日

個人番号カードと住民基本台帳カード(2)

 201618日金曜日付け記事「個人番号カードと住民基本台帳カード(1)」の続きです。

 「個人番号カード」は、住民基本台帳カード(本人の写真があるもの)と同様に、身分証明書として利用できるほか、公的個人認証の機能を利用できます。

 公的個人認証には、「利用者証明用電子証明書」と「署名用電子証明書」の2つの認証があります。
 「個人番号カード」の利用者証明用電子証明書を使うと、コンビニなどで住民票、印鑑登録証明書などの公的な証明書を取得することができます(住民基本台帳カード(本人の写真があるもの)と同様。)。

 「個人番号カード」の署名用電子証明書を使うと、自宅のパソコンなどからインターネットを利用してe-Taxや各種電子申請を行うことができます(住民基本台帳カード(本人の写真があるもの)と同様。)。

 住民基本台帳カードは、すぐに個人番号カードに切り替えなくとも、有効期限日まで身分証明書として利用することができますが、住民基本台帳カードに「電子証明書」機能をつけている場合には、「電子証明書」の有効期限が発行日から3年となっているため、注意が必要です。このことから、国としては、個人番号カードへの切り替えを促進したい意向があるのだろうと考えられます。

 なお、住民基本台帳カードは、個人番号カードが交付された時点で廃止され、回収されることになります。

ところで、地方公共団体情報システム機構の個人番号カード総合サイトによれば、コンビニ交付サービスを提供している市区町村は次のようになっており、対応の遅れが目立ちます。

 また、
「オンラインバンキングをはじめ、各種の民間のオンライン取引等に利用できるようになる見込みです。」
「平成291月に開設されるマイナポータルへのログインをはじめ、各種の行政手続のオンライン申請等に利用できます。」

などとも書かれており、個人番号カードを使うことで便利になるのはまだ先のようです。

2016年1月8日金曜日

個人番号カードと住民基本台帳カード(1)

 2016(平成28)1月からマイナンバー制度が始まりました。

 マイナンバー(個人番号)の「通知カード」は、お手元に届きましたか。
この「通知カード」は、個人番号を証明する書類として利用することができるものです。住民基本台帳カード(本人の写真があるもの)のように、本人確認の際の身分証明書として個人番号を利用するには、別途「通知カード」から「個人番号カード」(本人の写真があるカード)へ切り替える必要があります。

 マイナンバー制度は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(平成二十五年五月三十一日法律第二十七号)に基づいており、内閣官房社会保障改革担当室、内閣府大臣官房番号制度担当室、総務省自治行政局住民制度課が、主な所管官庁となっています。
具体の実務については、地方公共団体情報システム機構法により設置された法人である地方公共団体情報システム機構が担っており、同機構が運営している主なサイトは次のようになっています。




 ちなみに、住民基本台帳カード総合情報サイトでは、個人番号については一切説明されていません。
 内閣官房が運営しているマイナンバー制度のサイトは次のようになっています。



 このサイトでは、関係法令や法律制定の経緯などの資料を閲覧することができます。マイナンバー法逐条解説もこのサイトにあります。実務上の具体的な事柄については、たとえば、「「マイナンバー」とは何のこと?」をクリックすると「政府広報オンライン」に飛び、「通知カードが届きました。どうすればいい?」をクリックすると、先述の「個人番号カード総合サイト」に飛ぶようになっています。
(次回に続きます。)

2016年1月5日火曜日

日本のひととき

日本たばこ産業株式会社のTVCMに「日本のひととき」シリーズがあります。ジョージ・ウィンストンの代表曲"Longing/Love"が流れる、あれです。
「茶道篇」「和食篇」と続き、いまは「折り鶴篇」が流れています。どことなく懐かしい背景と流れるような曲調、そして外国人女性Liv O’Driscollの仕草と落ち着いた佇まい。
 このCMをつくっているJTが日本たばこ産業株式会社で、かつては日本専売公社だったと、いまの若者は気づくだろうか。長生きはするものだ、と、少しノスタルジーに浸っているわたくしです。




2016年1月1日金曜日

新年あけましておめでとうございます。

新年あけましておめでとうございます。
本年も、何卒よろしくお願い申し上げます。
Akira Takahashi
http://www.urbanlegal.jp/gyosei/
http://www.urbanlegal.jp/hidamari/

2015年12月31日木曜日

「人と動物の共生」と伴侶動物(3)

 20151230日付け記事「「人と動物の共生」と伴侶動物(2)」の続きです。

 なお、動物の愛護及び管理に関する法律の前身の法律である動物の保護及び管理に関する法律を制定する際の国会審議過程での立法趣旨説明はどのようなものだったか、次にご紹介します。長文ですが、お付き合いください。

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071回国会 内閣委員会 第44
昭和四十八年七月十九日(木曜日)
   午前十時五分開議

――――◇―――――
○三原委員長 この際、動物の保護及び管理に関する法律案起草の件について議事を進めます。
 御承知のとおり、本件につきましては、先般来理事会等におきまして協議を続けてまいりましたが、その結果に基づき、加藤陽三君、大出俊君、鈴切康雄君、受田新吉君から、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四派共同をもって、お手元に配付いたしておりますとおり、動物の保護及び管理に関する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの提案がなされております。
    ―――――――――――――

○三原委員長 この際、その趣旨について説明を求めます。大出俊君
○大出俊議員 動物の保護及び管理に関する法律案の起草案につきまして、その趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。
 動物は、古くから人間の生活に必須のものとして、人の衣食の用に、使役に、そして愛玩用に供されてきましたし、また、人の健康の保持のために、科学上及び医学上の研究実験の用に供されるなど人類の生存、福祉及び発展に貢献してきましたことは、御承知のとおりであります。
 しかるに、わが国では、これら動物に対する取り扱いが科学研究用、食用及び観賞用において、また、愛玩用においてさえ往々にして適切な配慮を欠き、そのため動物に不必要な苦痛を与えております。
 他方、動物の保管に適正を欠くため、動物による人身被害等が生じ、また、動物により人が迷惑をこうむる事件も多く生じているのであります。
 従来、これら動物に対する立法措置といたしましては、文化財保護法、軽犯罪法、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律、狂犬病予防法等があり、さらに地方公共団体が各地の実情に応じて制定した飼い犬等取締条例等があります。これらの法令は、それぞれの制定目的等を異にしており、動物の保護及び管理について総合的、統一的な措置を講ずることは困難であり、十分にその実をあげておらない実情であります。したがいまして、動物保護の見地から、また、動物による人の生命等の被害防止の見地から、動物の保護及び管理についての総合的な措置が必要と存ずるのであります。
 欧米等諸外国におきましては、数十年前から動物の保護に関する法律の制定を見ているのであります。文化国家であるわが国といたしまして、また、わが国における動物の保護に対する国際的評価を改善する上からも、動物の保護のための法律の制定が急務であると考え、ここに動物の保護及び管理に関する法律案の起草案を作成した次第であります。
 次に、この起草案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、動物の保護に関する原則、すなわち動物の保護に関する基本的な考え方を国民の前に明らかにして、動物の保護に関する国民の心がまえについての指標を与えることとしております。このため、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、または苦しめることのないようにするのみではなく、その習性を考慮して適正に取り扱うべきことを明らかにしております。
 第二に、動物愛護週間を設けることといたしました。毎年九月二十日から同月二十六日までを動物愛護週間とし、国及び地方公共団体は、その趣旨にふさわしい行事が実施されるようにつとめなければならないこととしております。
 第三に、動物の所有者または占有者は、動物を適正に飼養し、保管することにより、動物の保護及び動物による人の生命等の被害防止につとめなければならないものとするとともに、地方公共団体は、条例で、動物の飼養及び保管に関し、必要な措置を講じることができることとしております。
 また、動物の保護のための具体的な行為、すなわち、負傷動物等の発見者の通報措置、犬及びネコの繁殖制限、動物を殺す場合の方法、動物を科学上の利用に供する場合の方法及び事後措置に関しても規定しております。
 第四に、都道府県または政令で定める市は、犬またはネコの引き取りを求められたときは、これを引き取らなければならないものとするとともに、国は、都道府県または政令で定める市に対し、予算の範囲内において引き取りに関する費用の一部を補助することができることとしております。
 第五に、内閣総理大臣は、関係行政機関の長と協議して、動物の適正な飼養及び保管、動物を科学上の利用に供する場合の方法及び事後措置に関する基準並びに犬及びネコの引き取り、負傷動物等の収容及び動物を殺す場合の方法に関する必要事項を定めることができることとするとともに、これらの基準または必要事項を定め、または変更、廃止しようとするときは、動物保護審議会に諮問しなければならないこととしております。
 第六に、総理府に、付属機関として、動物保護審議会を置き、動物の保護及び管理に関する重要事項を調査審議することとしております。
 第七に、牛、馬、犬、ネコなどの保護動物を虐待し、または遺棄した者を処罰する規定を設けております。
 以上が本起草案の趣旨及びその内容の概要であります。何とぞすみやかに御決定あらんことをお願い申し上げます。
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 このようにして、動物の保護及び管理に関する法律は、1973(昭和48)101日法律第105号として成立しました。
 この1973年当時の立法趣旨説明において、「科学上及び医学上の研究実験の用に供される」動物、すなわち実験動物、そして動物実験について言及され、また、実験動物に並んで、食用、観賞用はもとより、愛玩用においてさえ、「往々にして適切な配慮を欠き、そのため動物に不必要な苦痛を与えて」いると説明しているのです。わたくしたちは、この事実を、重く受け止めなければなりません。
「人と動物の共生」と伴侶動物がテーマですが、人と人についても、深く思いを致す社会の到来を願い、本稿を終わります。


この1年、皆さまにはとてもお世話になりました。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2015年12月30日水曜日

「人と動物の共生」と伴侶動物(2)

20151230日付け記事「「人と動物の共生」と伴侶動物(1)」の続きです。

動物の愛護及び管理に関する法律第2
(基本原則)
第2条  動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。
2  何人も、動物を取り扱う場合には、その飼養又は保管の目的の達成に支障を及ぼさない範囲で、適切な給餌及び給水、必要な健康の管理並びにその動物の種類、習性等を考慮した飼養又は保管を行うための環境の確保を行わなければならない。

 動物の愛護及び管理に関する法律第2条の構造は次のようになっています。

 第1項は、
動物が命あるものであることにかんがみ、
「何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないように」
するのみでなく、
「人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うように」
しなければならない。

 第2項は、
何人も、動物を取扱う場合には、その飼養又は保管の目的の達成に支障を及ぼさない範囲で、
「適切な給餌及び給水、必要な健康の管理」
並びに
「その動物の種類、習性等を考慮した飼育又は保管を行うための環境の確保」
を行わなければならない。


 第2条は、第1条の目的条項を、より具体的に示したものといえます。人と動物でつくる共生社会を実現するためには、動物の種類、性格、生理、習性などをよく知り、相手(動物)の立場に立って、住む環境を形成してほしいと捉えられます。
 以下は、わたくしとわたくしのパートナーキャットについて述べます。
 わたくしはメスのアビシニアンと暮らしています。遡ること12年ほど前、猫と暮らすことを考えたわたくしでしたが、当時は猫の知識はなく、猫の飼い方の実用書をいくつか読み、少しずついろいろなことを覚えていきました。そうして、わたくしの性格、生活スタイル、猫の種類、性別などを考え合わせ、アビシニアンのメスを探すことにしました。1年ほどを経過したある日、パートナーキャットとなるアビシニアンのメスの仔猫と東京都中野区のキャッテリーで出会ったのです。
 さて、このプロセスは、人の家族でいうなら、初めての赤ちゃんを家族に迎え入れるときに、母親教室(両親教室)などで、妊娠・出産・育児について、必要な知識や技術を学ぶことと違いはないことが分かると思います。猫がふだん歩くところに危険なものを置かない、猫がなめたり、口にしたりしたら危険なものは、猫がとどかないところに置く、といったことは、赤ちゃんや乳幼児に対することと変わりません。相手の「性格、生理、習性などをよく知り、相手の立場に立って、住む環境を形成」していくことがお互いを尊重し合うということの一つの表れではないでしょうか。
 ペットと人間が社会で共存するために必要なことというのは、人どうしがいっしょに暮らしていく際にも大切なことです。わたくしはこのことを、いっしょに暮らしているパートナーキャットから教えられました。ペットショップの店先で一目ぼれし、衝動飼いする前に、猫や犬はもちろん、それぞれの種類によっても、気質や特性が大きく変わることがあることを知っておくこと。これは、相手を知ること、心から相手のことを考えること。そこから互いに信頼が生まれ、たしかなきずなを感じながら、いっしょに暮らしていける。そのような社会がペットと暮らすことから始まればとただただ願うばかりです。

(次回に続きます。)